嘘つきヴァンパイア様


涼子の言葉に家来は苦笑いしながら、頷いた。


「恐れおいですが、呉羽様のことは尊敬しております。なにより、罪をおった我らを屋敷の家来としての立場を下さったのですから。呉羽様からお聞きになったのでは?」


「あ……うん、まぁ……」


この冥界は、罪をおった神様の集まりだ。


その通り、家来たちは人間に手を出すと言う大罪を犯した、と、聞いたことを思いだす。


うなずく彼女に家来は続ける。

「そうですか。あ、ご安心を。涼子様には絶対に手は出しませんので


「そんなこと、思ってませんよ」


家来の言う通り、そう思うのも可笑しくはないはずなのに、涼子は家来達に対してそのようなことは全く感じない。


呉羽があの時彼らを見つめていた視線や、王だと言うのに、友達のような態度。


涼子に対してもそうだ。言葉は敬語だが、会えば声をかけてくれる。

彼らは罪を犯していたとしても、悪い神様ではないと、彼女は思っていた。



< 221 / 475 >

この作品をシェア

pagetop