嘘つきヴァンパイア様
「先程、剣の稽古をしていた際に怪我をしたのかもしれません。大丈夫です。直ぐに治るでしょう。神は人間より傷の治りが速いので」
「そ、そう言う問題じゃないよ!せめて、血だけでも、拭かなくちゃ」
「え…ちょ、涼子様!?」
無理矢理に腕を掴むと、アルフレートは動揺したように、涼子から離れようとする。だが、それをさせまいと傷をみると、痛々しそうな傷跡だ。
(掠り傷だと思ったけれど、そうじゃなかったみたい)
「痛くない?神様で、治りが速いからって、ほっとくのは良くないよ。痛いかもしれないけど、ちょっと我慢してね」
スカートのポケットからハンカチを取りだし、傷口に触れる。白いハンカチに血が滲むと、アルフレートが呟いた。
「汚れてしまいますよ」
「洗えば平気だから」
「…涼子様……」
真剣な表情で、黙々と傷をふく彼女をアルフレートは黙ってみていた。
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