嘘つきヴァンパイア様


「呉羽…って、後ろから抱きしめるの好きなの?」


以前、思い出したときのように、同じような答えをくれるのだろうか。

覚えてなかったら、悲しい。


不安を抱きながら聞いた台詞に彼は意味深に笑みをこぼす。

「涼子、また思いだしたのか?前にも同じこと聞いた」

「あ…うん…。その会話だけだけど……今、浮かんできたの」

「そうか。で、俺はその質問に答えたんだ。俺の物って感じがするから好きだって」


映像と同じ言葉に彼女の頬がほころぶ。

呉羽は覚えていた。そのことが、とてつもない幸福感を涼子にあたえた。

(早く、もっと…もっと早く、呉羽のこと思い出したい)


そして、そのまま、呉羽に抱かれながら、深い眠りについた。


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