嘘つきヴァンパイア様
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冥界のとある場所。
城下の更におくに存在する下界にその神、ギルドと従者のアナはいた。
30帖以上ある広い部屋のぽつんと佇むベッド。
白い、シルクに似た生地で出来たベッド
だ。
そこには、うな垂れたように、額に手をあて仰向けに寝るギルドの姿がある。
何を考えているのだろう。穏やかな顔を無表情にさせ、空に輝く赤い月を眺めている。
口を閉じ、瞬きさえもしていない。まるで、人形のようなギルド。みかねたアナが少し躊躇いながらも話をかけた。
「あの……ギルド様?」
口で答えることなく、視線だけをアナに移す。「なんだい?」と物語っているような目にアナは言う。
「あ…いえ…その、どうだったのですか?」
「どうって、なにが?」
「どぼけないで下さい。呉羽様の花嫁……涼子のことです」
アナは人間界で、涼子の親友だった。呉羽達、一族の始まりの祖であり、麗しい
美貌をもつ。
そしてなによりも、未来を見通す力を持つカトレア。
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