嘘つきヴァンパイア様
「…なにが、おかしいのですか?」
無言で微笑むギルドにアナは不思議そうに問う。
「あぁ……いや。弟は、本当に馬鹿だなって、関心をしていたんだ」
ベッドから起き上がり、アナに手招きをする。
促されるように彼女が近寄ると、ギルドはその可細い肩を抱く。細長い指で肩に掛かる服の紐を絡めた。
「ねぇ、アナ。僕はさ、あの彼女のこと欲しいんだ。だから、行動に移すよ。キミにも協力して欲しい」
「なにを今さら。わたしは常に、あなたの従者です。ギルド様のおっしゃることなら、なんでもします。罪を犯したわたしに居場所を下さったのですから」
「だから、それはいいって。けど、頼りにしているよ」
そう呟きそっと、アナの瞼にキスを落とした。
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