嘘つきヴァンパイア様
生まれ変わり
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「雷、止んだな」
「うん…」
その後、部屋に戻り一時間ほど経過すれば雷はやんだ。
あんなに激しかったのが嘘のように空は晴れ、紅色の月が外を照らしている。
呉羽は、驚くことにずっと涼子を抱き締めていた。「前もこうした」と言いながら、涼子を背後から抱き締めてくれていたのだ。
「なんか、ごめんね。でも、ありがとう」
涼子から離れ、長い髪をまとめると笑みを浮かべながら、テーブルの椅子をひき腰かける。
「いいんだよ。それより、俺は少しやることがあるから、涼子は寝てろ」
どこからか、沢山の紙の束をテーブルにおき、ペンを片手に何かをかき始めた。
仕事を中断させ、涼子といたのだ。やらなければならないことが、たまっているのだろう。
(…わるいこと、しちゃったかな)
良心が痛みながら、呉羽の隣に腰をかける。すると、視線だけが涼子を捕らえフッと鼻で笑った。
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