嘘つきヴァンパイア様
屋敷と同じ街灯があり、噴水もある。建物には明かりがやどり、影が動いていた。
「ルカ?あそこに、神様が住んでいるの?」
建物を指差せばルカは大きく頷き同意した。どのような神様がいるのだろう。
城下の神とはどんな動物の血をひくのか。ドキドキしながら見ていると、タイミング良く一つの建物の扉が開き、そこから若い男が顔を出す。
色白で頬に傷のある厳つい男だ。
(だ、だれ……?)
その男は涼子と見つめたあと、視線をレシィからルカにうつすと、厳つい顔からは想像も出来ないほど、柔らかい笑顔を浮かべる。
「何者かの気配がしたと思えば、これは、珍しい。レシィとルカではないか」
建物から出ると、素早くルカの肩に絡むように手を回す。
「お前が巡回か?もう終わったのか?よし、それなら寄っていけ!丁度、いい物が手に入ったんだ。お前らに見せてやる」
「待てよ。誰も終わったなんていっていない。それに今回は巡回じゃない。呉羽様の花嫁を案内してたんだ」
「花嫁」その言葉に男はかたまり、涼子をみた。ごくりと息を呑む音が聞こえ、舐めるようにみられる。
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