嘘つきヴァンパイア様


(うっ……なんか、いやだ。まるで品定めされているみたい。これが花嫁?って言われるのかも……)


逃げるように視線をそらす。だが、さすがに挨拶をしないのはまずいだろう。そう思い、涼子はペコと頭をさげた。

「あの、初めまして。涼子って言います」

「どうも……。ルカ、この子が、花嫁でカトレア様の……あれか?」


ルカは黙って頷く。


「そうか、そうか……そうなのか!!」


ルカから離れ、ガシッと涼子の腕を掴む。上下に激しく振り、目を輝かせながら涼子を見た。

「え……ちょ、え??」


「よくぞ来てくれました、花嫁様!さ、さぁ、是非中にお入り下さい!ここまでの道のりは疲れたでしょう。こちらに」



予想外の反応に戸惑ってしまう。

だが、慌てる涼子など無視し男は手を引き歩いていき、引きずられるように涼子の脚も動く。


それを見た、レシィとルカはため息をついて、後につづく。



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