嘘つきヴァンパイア様


その後男に無理やり家の中に引き込まれ、長方形のテーブルに座らせられてしまった。


隣にレシィが座り、斜めにルカ、目の前はこの家の男だ。


家の中は涼子の部屋の半分ほどで、ダイニングキッチンのような仕組み。


今まで、物は口にしていたが、作る所は見たことはなかった。


だが、想像していた通り、電化製品などない。



暖炉がり、マキのオーブンがあった。部屋は屋敷と同じ鈴蘭のランプがあり、明かりがともっている。


なにを燃やしているかは分からないが、この世界のものだろう。電気と同じくらい明るい。


そして、周囲をくまなく見渡す涼子の目の前に突然出されたのは、白いミルクだ。


冥界で乳製品や卵が珍しい。涼子もたまに口にするくらいだ。パンにだってミルクははいっていないのだから。


珍しいものが手にはいったとは、このことだったのか。まじまじと見ながら男を見上げると彼は言う。


「安心しろ。怪しいものなど入ってはない。怪しいのは俺の人相だ!」

「え……」

「やめろ。そんな返しにくい事を口にするな。涼子様が困っているだろう」



男の背中をルカが叩き、レシィも無言で男の脚を蹴る。眉間に皴を寄せ、二人を睨みながらその図太い声で叫ぶ。


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