嘘つきヴァンパイア様
「なるほどな。けど、仕える主の花嫁に言わないのはよくないぞ。自分のことだろうが」
じゃれるように手を伸ばしレシィの頭を撫でる。無表情な顔が僅かに赤くなり、男の手を乱暴に振り払う。
「レシィに気安くさわらないでください!」
「え、ちょっと…レシィ!?」
椅子から立ち上がり、振り返ることなく部屋を出で行ってしまった。
気まずい空気が流れ、涼子がおどおど周囲を見渡せば、男はため息をはきながら椅子の背もたれに寄りかかった。
「あー、なんて、冷たいんだ。俺はこの上ないショックを感じているぞ。ルカ」
「年頃なんだよ」
「ふざけるな!そんな歳じゃないだろう。だいだいレシィは昔から誰かに触られるのを極端にいやがる!小さい頃から全くかわらない」
(…あ。それ、確か前にルカさんに触られた時も嫌がって逃げたよね?…そういうことだったんだ)
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