嘘つきヴァンパイア様


座り込むなど、思っていなかったのか、レシィは涼子の意外な行動に体を震わせ、チラリと彼女をみる。

そのさ迷う視線に答えるように、涼子はいう。




「2回目だね。レシィを追いかけるの」


以前、ルカに肩を抱かれたとき、レシィは「触るな」と叫び逃げ出した。

その後を、涼子は追いかけたのだ。だから、今回で二度目になる。


もっとも、前は立ち止まりいつものレシィに戻ったが、反応は以前と違う。


無表情な顔も、いまは、何かを思い悩む少女の顔だ。


「ごめんなさい……でし」

「謝らないで。私が、好きでしていることなの」


レシィは冥界で涼子が関わっている、唯一の女性の神様だ。屋敷に使える女性の神様はいるらしいが、あまり会う機会はない。


花嫁である涼子の身の回りのお世話は呉羽の命により、レシィがしてくれているから。



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