嘘つきヴァンパイア様
だから、レシィのことは大切にしたい。
そんな涼子の思いを知ってか知らずか、レシィは細長い指で地面に円を書きながら、数秒だまり、意を決して呟く。
「涼子様……レシィは以前、地天界という場所にいたんでし」
「え?あ、うん……」
レシィが自らそのようなことを話すなど珍しく、思わず耳を傾けた。
「レシィは、猫の血をひいています。王に使える神ではなく、この城下に似た所に住んでいました」
「そうだったの?レシィって、猫の神様だったんだ」
(言われてみれば、猫っぽいかも。雰囲気というか、態度っていうか)
頷くと、レシィは円を書いていた手をとめ、ため息をはいて涼子の目をみた。
「涼子様、レシィはある罪をおかし、地天界の前王に冥界に落とされたのです」
冥界の住人は罪をおかしたものの集まり。話は聞いていたが、涼子は特にきにすることはなかった。
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