嘘つきヴァンパイア様


「呉羽が?」


「はい。冥界にきて、一人ぼっちのレシィに言いました。『過去を悔やむな。お前の罪は罪じゃない。前を見ない事が罪だ。今を生きろ。そして、大きくなり俺の従者になれ』と。だから、レシィは呉羽様を尊敬し、御側にいるのでし」


「へぇ、呉羽ってば……そんなこと言ったんだ。いいこというじゃない」


「当たり前でし。レシィの主様なんでしから」



頬を赤らめるレシィ。呉羽の事を褒めてくれるのは嬉しいが、涼子はすこしやきもちを妬いてしまう。


「レシィ、まさかとは思うけど……レシィがずっと前に言っていた身体を許した神様って、呉羽じゃないよね?」


レシィの呉羽に対する愛は、主従関係を越えている気がしてならない涼子はおそるおそる聞くと、顔を真っ赤に染め上げ立ち上がった。



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