嘘つきヴァンパイア様
それは、まるで夢にも関わらずまるで涼子自身の事のように幸せな気持ち。
なんだろう、この感覚。この幸せな感じは。
そう思い、夢の中で閉じていた瞳をゆっくりと開ける。
「…あ」
「え?…あっ」
重過ぎる瞼を開ければ、涼子の瞳には真っ白い天井がうつり、何故か鼻からは独特な薬品の嫌な匂いがした。
(あれ、ここどこ?)
普段の見慣れない景色に、ぼやけた意識がハッキリとしていき視線だけをキョロキョロと周囲を見渡した。横目に見えたのは白い服の女性が。彼女は涼子と目があうとホッと安心した表情を浮かべる。
「良かった。目が覚めたのね。痛みはあるかしら?ここがどことか分かる?」
薄めの化粧に白いキャンプ、腕には腕時計があり片手には数冊のファイルを持っている。
(だれ、この人。わたし、いつもの夢をみていたはずなのに…?)
突然のことに意味がわからなく、涼子は首をかしげると彼女は苦笑いをしながら口を開く。
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