嘘つきヴァンパイア様
「では、レシィは戻りますので、ここからは御気をつけて呉羽様のお部屋に行ってくださいまし」
呉羽の部屋に夜に行くことは、限られた神様しか許されていないらしい。
レシィは信頼できる神だが、女であることから禁じられている。よって、ここまでと言うことだ。
「うん。わかった。でも、呉羽の部屋って初めてだから緊張しちゃうな」
呉羽の部屋に近づくたびに涼子の心臓は激しく鼓動を繰り返す。
この後のことを考えてしまえば仕方がないことだが、いつになってもなれなく涼子は緊張してしまうのだ。
呟かれた涼子の言葉をレシィは無表情のまま受け流し、涼子を見送る。
それをみて涼子は意を決し呉羽の部屋に向った。
呉羽の部屋はそう遠くはなかった。だが、呉羽の部屋に着くまでの間、誰にも会うことなく付いた。
部屋の扉はやはりほかの部屋と作りが違い頑丈だ。扉に掘られたデザインも派手過ぎず、地味ではないといった感じの作り。
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