嘘つきヴァンパイア様



涼子の力で開くのかと思う大きなドア。つけられたノブに手をかけ涼子はノックをする。


だが返事はない。おそるおそる開けるもの、中に呉羽はいなかった。


(呉羽ってば、またいないの?)


涼子が呉羽を訪れると、ほとんどそこに呉羽はいないことが多い。あれだけ言っておきながら酷いものだ。



けれども少し安心し、涼子は部屋にはいった。広いワンルームの部屋で無駄なものは一切なく、ベッドとテーブル、棚にソファーのみ。


カーペットの柄やランプがあるからお洒落に見えるもの、かなり質素だ。


あたりを見渡しながらベッドに腰をおろせば、ふかふかのベッドから呉羽の香りがする。


(どこにいても呉羽の香りだけはよくわかる。それだけ好きってことなのかも)



ベッドに横になりゴロンと身体を回転させ寝ながら窓から見える月を眺めた。不思議といつもより赤いきがする月。



.
< 378 / 475 >

この作品をシェア

pagetop