嘘つきヴァンパイア様
ここに来て、太陽のない生活にはだいぶなれたが、たまに涼子は太陽が恋しくなる。
けれど冥界に太陽はない。仕方がないと諦めるしかないのだ。
(それにしても、考え事していたらなんか眠くなって来ちゃった。ベッドは気持ちいいし、呉羽が来るまで寝ようかな…今日はいろいろとあったし)
だんだんと重くなる瞼。しだいに襲いくる睡魔に逆らえなく涼子は眠りについてしまいそうになると、スッと何かが頬触れる感覚がした。
(あれ、なんだろう。今の……)
目をこすりながら瞼を開けば、マロン色の髪の毛がみえる。
やっと見慣れてきた髪の色。呉羽だと確信し、涼子は微笑ながらベッドから身体を起こす。
「呉羽?もう、せっかく来たのにいないから、寝ちゃうところだったよ。急ぎの用事でも出来たの?……って、え?」
ベッドの上で微笑みながら涼子を見下ろす、呉羽ではないその姿に心臓が嫌な音を立てる。呉羽と同じ色、ギルドだ。
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