嘘つきヴァンパイア様
そのまま牢屋の柵に鎖を繋ぎ、呉羽は微笑みながらしゃがみ足と首にも同じようにつけられてしまった。
その残虐な姿にされても、涼子はただ黙って呉羽の行為を抵抗することなく受け入れている。
定めに逆らうことなく受け入れる。まるで人形のような姿に呉羽は笑みを零しその頬を片手で触れた。
「いい姿だよ。真実に言葉を忘れただ呆然と座りこむその姿、おろかだな。まぁ、いいさ。スムーズに進んで助かった。大人しくしていろよ?俺がお前を利用するまでな」
「……」
「簡単に誰かを信用するからこうなるんだ。だから、ギルドに白い薔薇なんて言われるんだよ。俺の嘘を見抜けなかったお前は、馬鹿さ。全て、偽りとも知らずに」
呉羽の言葉に涼子はいまだに何も答えない。その濁りのない瞳で呉羽をみつめ、そらしてまた見つめる。
その瞳に呉羽は何を思ったのだろう。頬にあった手を離し、そのまま首筋をなぞり手を離し立ち上がった。
「もういい、つまらない。帰る。言っておくが、飢え死にはするなよ。3食は与えてやる。せっかく嘘をついて熟したものを無駄には出来ないからな」
(……呉羽……)
「待って……呉羽」
牢屋から出て、錠に鍵をしめ出て行こうとする呉羽の背中に声を掛ければ、呉羽は立ち止まった。
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