嘘つきヴァンパイア様
顔をあげ、柵から覗きこめば、酷く顔を曇らせたレシィの姿。
きっと、呉羽から何かを聞いたのだろう。それで、様子をみにきた。
苦笑いを浮かべる涼子にレシィは黙ったまま顔をそらす。いつもの無表情とは違い明らかに暗い。
そんなレシィに声をかようとすると、レシィはそれを拒むように涼子から距離を取った。
「涼子様に……あまり近づくなと。レシィは絶対に逃がすから、近付かなければここに来てもいいと……言われてしまいました」
「…そ…っか…」
そのまま座りこむレシィを涼子は肩をすくめ見下ろす。
(呉羽ってば、逃げないって、言ったのに。もう、信じてももらえないんだ)
「呉羽に捕まっちゃった。まさか、誘拐の次は監禁だなんて、面白い話だよね」
「……」
気まずい沈黙。それを掻き消すように涼子は続けた。
「あのさ、レシィは…こうなることも…全部聞いて…知っていたの?」
迷うことなく頷くレシィ。やはり、みながグルだったと言うことか。それもそうだろう。この世界の神は呉羽を愛している。協力するのはあたりまえだ。
レシィと同じようにしゃがみこみ、涼子は柵に寄りかかる。
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