嘘つきヴァンパイア様
「ずっと昔から、この時を待っていた。それなのに…俺は…結局こうやって、甘やかしている。呼ばれている気がずっとしていたんだ。聞こえないふりをして、体調が戻ったらまた閉じ込めればいいと…思ってはいたが…気づいたら、部屋の前にいた自分に驚いたよ」
「それは、そういう事だろ」
「…そうだろうな」
「涼子が、嫌な女だったら良かったよ。そうすれば…悩むことはなかったんだ」
触れていた手を離し、そのままルカを見上げた。
「ところで、本当は俺に何か話すために来たんだろ?なにかあるなら、早くいえ」
呉羽はやはりなんでも分かっているのだろう。何かを言おうか言わないか。どう言おうか考え言う。
「シャカ様が、呉羽の動きに気づいたみたいだ。きっと、事を起こす前に何か手をうってくると、思う」
「…そうか」
「それに、ギルド様も…動いているみたいだ。きっと、どちらも狙いは涼子様だろうけど」
どうする?そんな質問に呉羽は答えなかった。だが、少し険しい顔をしていたのは確かだった。
呉羽の目的。その本当の真意はなになのか。それが、分かるのは、これからすぐのことだった。
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