嘘つきヴァンパイア様


舌先がヒリヒリするような痺れと、喉の奥に感じる苦味。


こんなに苦い物が喉を通ったことはない。むせて、吐き出しそうになるが、その抵抗を呉羽はさせないと言わんばかりに、深く、深い口付けで涼子を取り押さえる。


離れようにも、離れなく、ただ流され苦い味の液体に顔をしかめ、呼吸をすることすら忘れて、ひたすら飲み込むとゆっくりと呉羽の唇から解放された。


「はぁっ…ううっ」


苦すぎて、身震いがする。口付けをされたのに、嬉しや、身体が熱くなるのはずなのに、そんなことを考える余裕がないほど、苦い。苦すぎて、気持ち悪い。


唇から流れる液体を手の甲でふき、戻って来そうになるのをたえれば、呉羽の手が涼子の背中をなでる。



「戻すなよ。よく効く薬だから、戻したらまた飲ますからな」

「う…ん…でも…うっ」


(そう言われも、とても気持ち悪い。身震いが止まらない…)


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