嘘つきヴァンパイア様
「呉羽…お願いがあるの…」
ぎゅうと、1ミリの隙間すらないほど力を込め抱きつく。
断られるかもしれない。これは、かけだ。
だが、それでも涼子は良かった。
そっと、抱きつく手に呉羽が手を添え引き離そうとするのを拒み、更に深く抱きつき言う。
「呉羽の言う…目的って、なんなの?」
「…」
「その為に子供が必要って、言っていたけれど…子供が出来て、それから…どう、するの?」
「そんなこと、お前が知る必要はない」
(そう、かも…しれない。だけど)
「教えてくれないなら…わたしは…何としてもでも、ここから…逃げる」
手に添えられた手が、反応した。
涼子の手を掴み、そのままねじあげるように涼子を引き寄せ、出口のドアに押し付けられる。
冷たい視線。だけれど、涼子と負けれなかった。呉羽がいないと、自分はダメだとわかっているから。
「呉羽…」
「そんな事をしてみろ。地の果てまでお前を探して、必ず見つけ出す」
「…そう。それなら…わたしを離さないで」
手を振り払い、そのまま呉羽の胸に飛び込むとよろけながらも涼子の身体を支えた。
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