嘘つきヴァンパイア様
その行為はどんどんエスカレートしていく。
服をたくしあげ、露わになった腹部に唇を寄せ、だんだんと上にあがり柔らかい膨らみに触れられれば甘い刺激が身体に走る。
思わず漏れ出しそうになる声を抑え、その手を掴むと、呉羽は涼子を見下ろした。
「なんだ。利用していいと言ったのは、お前のほうだろ?」
「い、いや…確かに言ったけど…まだ、体調が…そ、そういうのは体調が回復してからで…薬も飲んだし…もう一眠りしてからで…」
「それは、出来ない相談だ。俺には時間がない。早くしなければ、全てが無駄になる」
涼子の手を払いのけ、再び肌に口付けを落とす。
その仕草は、乱暴なんかではない。嘘だと告白される前と同じで、とても優しい。
身体の奥深くから、熱をおびて全身にひろがっていくのがわかる。
脚に触れる手も、時々聞こえる吐息も、見下ろす瞳も、全てが狂わす猛毒のよう。
(どうしよう…まだ、病み上がりなのに、触れられるとおかしくなりそう。どうでも、よくなって…このまま流されてしまう)
それに、嬉しいのだ。
呉羽が、自分の傍にいてくれること。利用するためでも、触れてくれること。
愚かだと、思う。だが、もうどうでもいいのだ。
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