嘘つきヴァンパイア様


いま、この、ひと時をなによりも大切にしたい。


手の力を抜き、そこままシーツを握りしめるとそれが何かの合図のように呉羽の動きがより深いものにかわっていく。



自身の衣服も乱し、栗色の髪の毛をかきあげ涼子に触れる。


反射的にビクつくが、その後に来るのは恥ずかしい音と行き乱れる細長い指の感触。


声など出ないわけがない。荒々しい呼吸に、声が交ざり部屋中には響く。


何回もこのようなことをしたはずなのに、とても恥ずかしい。


何故だろうか。その答えが分からないままその、感覚を感じていると、呉羽との距離が、ぐっと近づいた。


ごくりと息をのむ。その次に何を、されるか理解しシーツを握ったまま歯を食い時しばれば、その熱した釘が打ち込また。

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