嘘つきヴァンパイア様
もちろん、その答えはイエスでレシィは間を置かずコクりと頷いた。
「なるほど、まぁ、いわゆる既成事実ですね」
"既成事実?"そう、レシィが言うとルカも不思議そうにユノをみた。
「恋人だと、思いこませてこちら側に連れてくるのですよ」
「はぁ?それ、上手くいくのか?」
いくらなんでも、思いこませるなど無理だろう。なによりそのような力は呉羽にはない。ルカはそう思った。けれども、ユノは平然とした顔したまま"もちろん"という。
「彼女はカトレア様の生まれ変わり。その僅かな記憶を呉羽様と過ごした記憶だと錯覚させるのです。なに、大丈夫でしょう。呉羽様に掛かれば人間の女など、コロッと惚れてしまいますから」
"なるほどな"と、納得するとルカは窓ガラスから見える真ん丸の月をながめる。
「それも、そうか。あいつ、格好いいからなー
」
「ルカも見習ったら、いかがですか?」
レシィの冷めたような視線を受け、"余計なお世話だ"と、ルカは苦笑いをした。
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