嘘つきヴァンパイア様
第1章

出会い










***



『カトレア…カトレアよ』


(ん…だ、れ?)



『すまない。私は…お前を…こんな目に…』


(カトレア?あぁ、いつもの夢か)


とても穏やかな優しい男性の声で"カトレア"と名前を呼ばれる。その声は何時も切なそうに"すまなかった"と謝る。


『カトレア…っ…すまない』




(どうして、そんな風に謝るの?)



『カトレア…カトレアよ』














「って…だ…れ?」


「は?あんた、なに言ってんの」


「え?」


ポコと軽く頭を叩かれ、ぼんやりとした頭の中がはっきりしていく。


重い瞼を擦りながら目をあけると、目の前には口元をキッと引き締めて私をみる女性の姿があった。



< 5 / 475 >

この作品をシェア

pagetop