嘘つきヴァンパイア様
第1章
出会い
***
『カトレア…カトレアよ』
(ん…だ、れ?)
『すまない。私は…お前を…こんな目に…』
(カトレア?あぁ、いつもの夢か)
とても穏やかな優しい男性の声で"カトレア"と名前を呼ばれる。その声は何時も切なそうに"すまなかった"と謝る。
『カトレア…っ…すまない』
(どうして、そんな風に謝るの?)
『カトレア…カトレアよ』
「って…だ…れ?」
「は?あんた、なに言ってんの」
「え?」
ポコと軽く頭を叩かれ、ぼんやりとした頭の中がはっきりしていく。
重い瞼を擦りながら目をあけると、目の前には口元をキッと引き締めて私をみる女性の姿があった。
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