嘘つきヴァンパイア様




***


翌日、両親が迎えにきてくれて精密検査が終わったあと涼子は退院した。

結局、身体に異常はないもの軽い記憶障害と診断され様子を見ながら通院という形になった。


「じゃあ、何かあったら連絡するのよ」


涼子のアパートの前で彼女の母親が心配そうにみつめる。それに対して苦笑いをしながら"大丈夫"と言う。


「いい?学校は明日から行くのよ?今日は休んでね。部屋から一歩も出ては駄目よ?」

「わかったってば」


全く心配性なんだから。と、涼子は思う。それもそうだ。涼子は一人っ子で両親にとっては目にいれてもいたくないくらい可愛いのだから。


そんな心配性の母親を軽くあしらうと、突然母親はニコニコ笑いながら涼子の腕をつつく。


「それよりあなた。いつの間に恋人が出来たのよ。前にあったときは、何も言わなかったじゃないの。しかも、物凄くハンサムな彼」


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