嘘つきヴァンパイア様
真っ黒い艶やかな髪の毛。きめ細かな白い肌にスッと筋の通った高い鼻。大きな目にパッチリとした二重を持ち、耳には派手にリングのピアスが2つ付いている。
パチパチと何度も瞬きを繰り返し、その美しい容姿がハッキリと目に映ると、彼女は首を傾げた。
「あれ…楓(かえで)…?」
「そうよ。あんたさ、よくもこんな場所で寝れるわね。その神経素晴らしいわ」
「…え?」
(こんな所?)
楓の言葉に周囲を見渡せば、沢山の人がテーブルに向かい分厚く文字で埋め尽くされた本とにらめっこをしている。
(あ、そうだ。今日は友人の楓と市民図書館に来ていたんだ。通っている専門学校のレポートを書くために)
朝早くから図書館で頑張っていたが、睡魔に勝てなく楓がいない隙を狙って仮眠の気持ちで目を閉じたらそのまま眠ってしまったみたいだ。
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