嘘つきヴァンパイア様
「もういいよ。寧ろ何もなくて良かったよ。で、なにしてるんだよ。お前ら、大注目されてたぞ」
「あ、それが実はさ…」
小声で呉羽に事の詳細をはなすと呉羽は全てを聞いたあと、"へぇー"と、呟くと泣きづつける彼女の頭を優しく触った。
「お嬢さん」
「ぐすっ…え…?」
呉羽の優しい声に、彼女は涙を流しながら顔をあげ呉羽を見つめる。
「振られたんだって?」
「ちょっ、くれ」
「大丈夫だから」
コクリと頷く呉羽に涼子は何も言えずに彼を見ていると頭に乗せた手を数回叩く。
「いいか?運命を感じて付き合ったかもしれないが浮気されて別れたのならそれは結局運命なんかじゃなかったんだよ」
「…え?」
「それに、振られて良かったじゃねぇか。そんな男とこの先一緒にいても、お前は幸せになんかなれない」
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