嘘つきヴァンパイア様
「お前が望む運命の糸なら、また探せばいい。それで、また失敗してなくかもしれない、それでも、必死に探すんだよ。たった一人の相手をな」
「たった…一人の、相手?」
「そう。沢山ある糸の中からそれを見つけるのは難しけれど…必ず、お前なら見つけられるさ。痛みを知れば、それだけ強くなれるんだ。だから、大丈夫。俺が保証するよ」
「…ほん…とに?」
「あぁ。ほら、もう泣くな。そんなんだと、次の糸が見えないだろ」
「あ…う、うんっ!」
そう言い、呉羽の差し出したハンカチで涙をふき笑顔をみせる彼女。
「…呉羽…」
友人の笑顔をみて涼子は思った。
呉羽は凄いって。記憶がないから彼の知らない。いや、覚えてない姿をみて、この人は心が綺麗だなって涼子は思いながら紅茶を飲み干した。
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