嘘つきヴァンパイア様
「あ、ごめん。なんて言うか…私は長い時間慰めたのになかなか泣き止んでくれなかったんだよ。でもね、呉羽の…あの言葉ですぐに泣き止んだから少し悔しいだけだよ」
ペロッと軽く舌をだす彼女に呉羽は笑いながら手を握る。
「そんなことかよ。心配させるな。ただ、自分を知ってる涼子より、知らない俺のほうが素直になれたってだけだよ」
「そんなことないよ。でも、少し格好良かったかな」
「惚れ直した?」
「え?う〜ん…」
「そこは頷けよ。もう、いい。いくぞ」
手を引かれ、二人で歩きだす。身長の高い呉羽だが、きちんと涼子に合わせて歩いてる。
そのことが少し嬉しく、握られた手を自らも握れば彼は"そうだ"と、つづける。
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