嘘つきヴァンパイア様
第2章
冥界
***
『カトレア…すまない。私が全て悪かった…』
涼子はまた夢を見ていた。内容はいつもと同じ。
知らない誰かにカトレアとよばれ、謝られている夢。
『…本当に、すまない。こんな筈ではなかったんだ』
何故、彼は…こんなにもあやまっているのだろうか。この声を聞くだけで彼女はとても切なくなる。この気持ちはなんだろう…。
そう夢の中で涙を流す。そして、そっと目を開けた。
「あ、れ?」
涙で滲む視界に入ったのは見慣れない天井だった。
数回瞬きを繰り返し、はっきりと見えて来た景色に涼子に思う。
(あれ…ここは、どこ?)
見慣れない部屋だった。少し気だるさを感じる身体を起こし周囲を見渡す。
カーテンがしっかりと締められた部屋。少し薄暗く、電球らしきものは天井にはない。
あるのは、所々に置かれたランプに蝋燭を灯してある明かりだけ。
見た事のない家具の数々。そして、今いるベッドはクイーンサイズ以上におおきい。上掛けはふわふわで綿あめのようだった。
全くもって覚えのない景色に、涼子は頭を抱え考える。
(確か…呉羽といたらいきなり眠気が襲ってきた気がする。それから、どうなったんだっけ?)
思いだそうと考えても、何故此処にいるのか答えが出てこない。
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