嘘つきヴァンパイア様
「私はレシィと申します。レシィとお呼び下さい」
「え?は、はぁ」
「お目覚めに紅茶など如何致しましょうか?」
「い、いえ…結構です」
この状況が理解出来ないのと、淡々と話すレシィに涼子は少し不安になる。少し戸惑いながら口を開いた。
「あの…レシィさん」
呼びかけに何も答えないレシィ。
「えっと…あ、あの」
「レシィとお呼び下さい。私に敬語も必要ございません」
意外な返答に涼子は少し驚き彼女の名前を呼ぶ。
「れ、レシィ?」
「なんでございましょう。涼子様」
「あの、ここは何処なの?」
目が覚めたら知らない部屋に知らない奇妙な女性。ここが何処なのか気にならない訳がない。
恐る恐る問う彼女にレシィは視線を反らす。
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