政略結婚 ~全ては彼の策略~


悟とのデートはとても緊張したが、とても楽しかった。

目的地に着くまでのドライブ中に、優香は悟のことをようやく"悟さん"と呼べるようになっており、それに悟も満足そうにしてくれた。

車で1時間程の距離にある公園でお花見をしながら散歩。
桜を見に来た人々で公園の広場は賑わっていた。

屋台も出ており、優香が興味津々でどれか食べたいなと思っていると悟は可笑しそうにニヤリと笑っていた。


「何が食べたい?そう言えば、優香は屋台の物って食べた事あるのか?」

「それくらいありますよ!今日みたいにお花見で屋台の物食べますよ。夏に行くお祭りとかも好きですし、屋台の食べ物ってその時しか食べられないと思うと何か分からないけど美味しいんですよね。」

「へ〜、意外。てっきりお嬢様にこういうのは口に合わないのかなと思ってた。」

「お嬢様って、私がですか?確かに父は社長ですし、恵まれた環境で育ってきた事は分かっていますけど、至って一般的な暮らしをしてきてると思います。」

「…一般的って?」

「そうですね…。例えば、うちでは家政婦さんとかは雇った事ないです。母が家の事は全て管理しています。なので家では母の作った料理を食べますし、家事全般も母がしていますよ。一般家庭もそうですよね?」

「………そうだろうな。」


悟がどこか遠い目をしながら同意しているが、優香にはその真意は分からなかった。
だが、悟の目は少し寂しそうに見えたのだった。



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