政略結婚 ~全ては彼の策略~
夕食の片付けも終わり、ソファに座って2人でフルーツをつまみながらお茶を飲んでまったりしていた。
明日は仕事だから、もうそろそろ悟も帰る頃だろう。
昨日よりもかなり長い時間過ごしたのに、まだ一緒に居たいと思ってしまうなんて…
優香は自分の思いに歯止めが効かなくなりそうで怖くなった。
悟が今住んでいるマンションはここから車で10分程度だと聞いている。
かなり近くに住んでいたのだと驚いたが、これからも気楽に会える距離にいられることは嬉しい。
優香は悟が自分のことをじっ…と見つめている事に気が付かないままテレビを眺めていた。
「…優香」
名前を呼ばれてようやく悟の視線に気付いた時には既に唇が重なっていた。
優香は急なことに戸惑いながらも悟を受け入れていると、唇が別の湿った何かを感じる。
それが悟の舌だと気付いた時頃には優香の顎に手を添えられ下唇を悟の親指がめくった。
そのままキスが深くなり、呼吸が苦しくなるが悟が止まる気配はない。
ようやく解放された時には、優香の息は既に上がっていた。
「……優香、息を止めていたら苦しいぞ……ちゃんと息継ぎして…」
悟の色を増した声に優香は耐えられなくなりぎゅっと目を閉じる。
優香が昨日以外で最後にキスをしたのは高校生の時だ。
しかもそっと触れるくらいの軽いもの。
……こんなにキスが大人なものだったなんて…
先程から衝撃ばかりで、辛い。
息継ぎしろと言われても、どのタイミングでしたらいいのか分からないのだから仕方ない。