政略結婚 ~全ては彼の策略~
「…残念だが、こんな事でへばっていたら、持たないぞ。」
背中に手を回され、抱きしめられながら再びキスを繰り返す。
それだけで優香は幸せで胸がいっぱいに満たされた。
ずっとこのまま。
こうしていたい。
優香も悟のことを抱きしめたくて腰に手を添える。
リップ音と共にゆっくりと唇が離れた後、見つめられた。
「…優香、本当に俺と結婚する事になってもいいのか?」
悟の大きな手が優香の頬に添えられ、指の腹で撫でられる。
…悟は何を言っているのだろうか。
そんな事いいに決まっている。
むしろこちらからお願いして結婚してもらおうとしていると言った方が正しいような関係なのに。
優香がコクリと頷くと、「…分かった。俺はちゃんと確認したからな。」と悟は呟いた。
既に熱に浮かされたようにぼんやりしていた優香は両腕を持ち上げられ悟の肩に乗せられてもよく分からずにされるがまま。
グイッと持ち上げられ驚くが、悟の腕はしっかりと優香を抱き上げて不安定さは欠片も無い。
そのままスタスタと迷いなくベッドルームに運ばれ、そっとベッドに降ろされた。
そして優香は、ようやく自分の状況に気が付いたのだった。