政略結婚 ~全ては彼の策略~
昼休みに近くの定食屋へ。
何とか咲希に彼氏が出来たとだけ伝えてそれ以上はまだ話せないと言うと渋々ではあったが納得してくれた。
「とうとう彼氏出来たんだ!ずっと好きな人いたみたいだけど、もしかしてその人?」
まさか、そこまで気付かれているとは思わず驚きながらも頷く。
「良かったじゃない!」
「…うん。」
優香の反応があまり嬉しそうではないため咲希は心配そうに尋ねてきた。
「…もしかして優香に限ってないとは思うけど、不倫…とかではないよね?」
「…ふ、不倫!?まさか!」
「…良かった……。ならもっと喜びなよ。ずっと好きだったんでしょ?」
「そうなんだけど…。ちょっと色々と事情があって……。」
「…ふーん。色々ね〜。でもラブラブなんだしいいんじゃない?」
「……らぶらぶ………。」
悟と自分がラブラブ………?
とてもじゃないがラブラブとは言えそうにない。
優香の一方的な好意は実ったが、悟は違う。
優香でなくても悟は結婚を了承していたはずだ。
もしかしたら、他に別の女性がいた可能性もゼロではない。
それを社長の椅子をぶら下げて無理やりとまでは行かないが半強制的に優香と結婚してくれようとしてくれている。
「…何?違うなんて惚気ないでよ。そんな所にキスマークまで付けられておいて。」
「…それも誤解というか………。」
「誤解?何も無かった訳じゃないんでしょ?」
「…何も無かった訳じゃないけどあった訳でも無いっていうか………」
「……優香が何だか面倒臭い男を好きだった事は分かったわ。」
咲希は妙に納得した様子で、お昼休みは過ぎていった。