政略結婚 ~全ては彼の策略~

神崎(カンザキ) (サトル)は同じ会社で働く社員だ。

父親が会社を継いで社長に就任する少し前から父親の部下として働いており、かなりお気に入りとして現在まで変わらず可愛がっている男である。

そして優香の祖父が引退した後、父親が社長に就任してからは父親の片腕として優秀な働きをしてくれているとよく聞いている。


毎年優香の家で行われている会社の創立記念日のパーティにも毎回参加しており、優香が就職する以前からも顔見知り程度ではあるが、お互い知った仲ではあった。


そして、優香にとって悟は特別な男性でもあった。

初めて出会ったのは、優香が大学入学したばかりの年。

毎年行われているホームパーティで、見慣れない初めて見る男性がいた。
あまり若者がいない場だったこともあり、悟の存在はかなり浮いて見えるはずなのに違和感なく父親の側に付き添っていた姿は今でも鮮明に覚えている。


その姿があまりにも目に焼き付いて離れなかった。
何故か悟を見た瞬間、この人だ!と優香の本能が告げていた。

惹き付けられた。

この人に近付きたい。
この人のことを知りたい。

人生で初めて一目惚れをした。
そして優香は今まで抱いた事のある恋心など小さな子供のおままごと程度だったのだと思い知ったのだった。





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