政略結婚 ~全ては彼の策略~
単身用にしては広々としたバスルームで2人でシャワーを浴びながら、優香はちらりと悟を見上げる。
薄い小麦色の肌は元々なのだろう。
先週見た時と変わらずそこに程よい筋肉がついており男らしい体つきに優香はそっと自分の体を見つめた。
こんなに素敵な男性に求められる程の容姿は兼ね備えていない。
肌は白く、それなりに手入れはしているが、華奢ではないし、どちらかと言うとふっくらした平均的な体型だ。
もっと大人っぽい色気のあるスタイルなら、悟の隣に立っても自分に自信が持てたのかもしれない。
優香は曇った鏡に映る自分と悟の差に落ち込みながらも早くこの場から出たい一心でサッと髪と体を洗っていく。
身長はこれ以上は望めなくても、スタイルだけなら何とか努力してメリハリのある体型を目指せるはずだと優香はダイエットを決意するのだった。
浴室から出るとバスタオルを渡され体を拭く。
タオルから悟の匂いがしてきゅんとしながら先にドライヤーを借りる。
髪を乾かし終えリビングに戻ると、悟はキッチンで缶ビールを飲んでいた。
いつもはワックスで整えられている黒髪が今は無造作に濡れている。
それをタオルでゴシゴシと拭いており、それだけの仕草でさえも色気があるので不思議である。