政略結婚 ~全ては彼の策略~



優香が就職した年には、父親も社長に就任した。

父親が社長に就任してからは、大掛かりなプロジェクトが成功する度に、ホームパーティが行われるようになった。


そこにはほとんどの確率で悟もいた。

優香はまだ新入社員でプロジェクトには参加していなかったが、自分の務めている会社の社員が参加するホームパーティに顔を出さない訳にも行かない。

そんな事を言い訳にして、悟と同じ空間にいられる事に喜びを感じていた。


優香にとっては成功を納めた社員達と会話をしながら仕事の勉強も兼ねて話を聞ける機会も有難かったのもある。


皆それぞれ楽しく過ごす空間。
優香もあと数年したらプロジェクトにも参加させて貰えるようになりたいと思いながら、先輩達の話を聞いていた。


悟は、ホームパーティに来ると決まって優香にもわざわざ挨拶をしに来てくれる。

もう社長の娘ではなく同じ職場の社員として接して欲しいと伝えても、悟は首を縦には振らなかった。
ホームパーティでは、悟は優香を相変わらず"優香さん"と呼ぶ。

社長である父親や他の社員と一緒に会話をする事は何度もしてきた。

だが2人きりになった事は今まで1度もない。

悟とは11歳の年齢差がある。
優香にとっては憧れに近い存在。

近いけど遠い、雲の上の存在だった。


悟が誰かと結婚する時には現実を見て優香に見合った誰かと結婚すればいい。
それまでは、悟の事を思う気持ちを諦めたくなかった。





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