政略結婚 ~全ては彼の策略~
このまま2人だけで
***
部屋に備え付けられている電話が鳴る。
その音で、優香がもぞりと動いた。
悟はベッドから気怠そうに起き上がり電話に出ると、女将からだった。
「…神崎様、おはようございます。朝食のお時間があと1時間で終わりますがどうされますか?」
「……あぁ、分かりました。連絡ありがとうございます。もう少ししたら向かいますのでそのままでお願いします。」
朝から2人で露天風呂に入り夜と同じく悟は優香を思う存分堪能した後だったため、優香はまだ体が怠いのか眠そうにしている。
「……電話、どうかしたんですか?」
「朝食の時間みたいだ。用意して行こうか。」
「……もう、そんな時間!急いで準備しますね。」
「…ククッ、まだ時間はあるからゆっくりで大丈夫だよ。」
慌てる優香を落ち着かせて悟も支度をする。
朝食は決まった時間の間で好きなタイミングに行って構わないスタイルであるため、ゆっくりし過ぎてしまった。
悟は顔を洗うとラフな私服へ着替えて優香の支度が終わるのを待つ。
優香を見ると膝下までのワンピースを着てから髪をまとめているところだった。