政略結婚 ~全ては彼の策略~

朝食を食べ終えて部屋に戻ると2つのベッドを見て優香が何故か赤面していた。

どうやら明らかに1つしかベッドを使っていない事が恥ずかしいようだ。

あわあわしながら乱れたベッドを出来る限り綺麗に直し、もう片方を少し崩してみたりしているが、シーツのシワで明らかだった。

それよりも昨日と今日でお互いの体液を拭き取ったティッシュがゴミ箱いっぱいにある事の方がよっぽど恥ずかしい気もするが、そこまでは気がついていないようだ。

優香の行動に悟は笑声を堪えていたが、どうやら聞こえてしまったようで珍しくムッとした表情をしている。

「……笑わないでください…。」

「ククッ……大丈夫だ。恋人が宿泊してベッドを1つしか使わないなんて当たり前だろう。」

「…で、でも、……っ。悟さん、よくここに来るんですよね?旅館の方も悟さんのことをよく知ってるみたいだし、やっぱり何か恥ずかしいです……。」

「仲がいいと思われるだけだろう。……ほら、こっちにおいで。」

広げられた腕の中に遠慮がちに近づいてきた優香をぎゅっと抱きしめる。

「…それとも仲が悪いと思われた方がいい?」

腕の中で優香はふるふると頭を横に振った。

「スタッフも慣れてるだろう。気にしないさ。」

「…そうですかね…?」

悟がそう言うのなら、と優香もしぶしぶ納得して落ち着いてきたようだ。


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