政略結婚 ~全ては彼の策略~
2人きりの時間
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次の日の土曜日、お昼頃に知らないアカウントからメッセージが届いた。
見ると悟からだ。
驚いて携帯を床に落としそうになったが、震える指で内容を確認する。
"昨日は挨拶に伺えず申し訳ありません。社長から連絡先を教えていただきました。これから結婚に向けて色々と準備が必要になりますので話し合いの時間を頂ければと思います。お会いして話がしたいので優香さんの都合が良い日を教えてください。"
仕事のような文章。
それでも優香は嬉しくてメッセージを何度も読み返す。
優香よりも悟の方が忙しいことは明白だった。優先させるような予定は特になかったので、悟の都合に合わせることを伝えると直ぐに返事が返ってきた。
"それでは今日の夜、18時頃に〇〇駅で待ち合わせでも宜しいですか?"
まさか今日の夜とは思わず驚きでまた携帯を落としそうになってしまった。
駅名は優香の住むマンションの最寄り駅だった。
仕事の出来る悟の事だ。
前情報として聞き出せる情報は全て父親から聞いているのであろう。
あと数時間後に悟に会う。
多分2人きりで。
優香は緊張でどうにかなりそうな自分を奮い立たせながらどうにか着ていく服を選び始めたのだった。