可愛いなんて大嫌い
プロローグ
「お前って可愛くないから無理」

 今から一年とちょっと前。中学二年生も終わりに近づき、三年生へと学年が変わろうとしていた頃。

 人生初の命がけの告白で、無惨にも玉砕した苦い記憶。

 初恋は叶わないなんてどこかの誰かが言っていたけれど、それは紛れもない事実であった。

 「可愛くない」など言われても、腹が立ったり悲しくなったりするが、いつの間にか忘れてしまう。

 人間とはそんなものだろう。

 だけど想いをよせる相手に言われるのは別だ。

 気にしてない素振りとしたり想いをかき消しても、心のどこかにはその一言がいつまでも残っている。

 言葉とはなんて残酷なものだろう。

 そしてそのトラウマを今でも尚、引きずっている人間がここにも一人。

   ***

 ――このような経験をした彼女は酷いひねくれ者になってしまった。

 元の性格も歪んでいるため、今ではかなり取っ付きにくい存在になっている。

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