可愛いなんて大嫌い
 声の正体はウェーブがかったロングヘアーで、パッチリおめめの可愛らしいお嬢様が一人。

 三つあみヘアーでたれ目の優しそうな女の子が一人、の計二名。

 せっかく声をかけてくれたというのに、葵はその二人が誰だかわからない。

 同じクラスなのは確かなのだ。

「じゃあ一緒に入りましょうよ。私は佐倉梨加。よろしく」

 名前がわからずハラハラしている葵は置いておいて、ウェーブがかったロングヘアーのお嬢様はそう言って自己紹介した。

「私は川上茉子っていうの。よろしくねー」

 続いて三つあみヘアーのもう一人も葵に挨拶する。

「よよ、よろしくっ! 葵は神田葵っていうのだ」

 最初は見ず知らずの二人に戸惑ったものの、話してみれば面白い奴だと葵達は意気投合してしまった。

 殴り書き状態の入部届を一緒に出しに行く事にする。



「どうして料理部に入るの? 葵って絶対料理なんか出来ないタイプよねー」

 教室を出て職員室に向かっていると、梨加は髪を耳にかけながら葵の方をジーッと見てきた。

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