可愛いなんて大嫌い
 しばらくするとブォーッと音をたて、一台の高級車が校門の前に止まる。

 車の中から写真と同じ顔をしたさわやかイケメンが一人出てきた。

 彼を降ろすとすぐに高級車は帰って行く。

「初めまして、神田葵さん。俺の名前は雨宮太郎。今日はよろしく」

「はぁ……。お前彼女はいないのか?」

「あははっ、ストレートな質問だなぁ。今はいないんだ。だからこうやって葵とデートするんじゃないか」

 葵の体中に凄まじい鳥肌が立った。

 隠れているみーちゃんは思わずぶはっと吹き出した。

「写真通りやっぱり葵は可愛いな。俺と付き合わないか?」

 雨宮太郎はそう言いながら葵の手を取る。

「ぶっ! あのイケメン全力で葵を口説いてやがるっ」

 笑いが止まらないみーちゃんは目に涙を浮かべながらお腹を抱えてうずくまった。

 一方の葵はというと、

「……きききっ、気持ち悪っ!! 放せっ触るな! 葵は帰る」

 握られていた手を振りほどき、逃げるようにその場を去ろうとする。

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