可愛いなんて大嫌い
「そうそう。葵ちゃんみたいな人って1番に泣いて逃げちゃいそうだよ」

「その通りね。葵って怖いのダメそうな気がするわ」

 冗談混じりにクスクス笑い合う2人に対し、葵は気が気じゃなかった。

(こ、こいつら何故葵が怖いのダメって知っているのだ!? 信じられん。エスパーか!?)

 幽霊やお化けは、葵の嫌いなものベスト3の中に見事に入っている。

 夜の学校なんか想像したくないし、ましてや肝だめしなどありえないのだ。

(まずいぞ! 休むべきか!?)

「葵、明後日ちゃんと来るのよ。あなたが泣きべそかかないかどうか楽しみにしてるわ」

「うっ、うるさい! 大きなお世話だ! 行けばいいんだろ行けば」

 これで後には引けなくなった。葵の選択肢から“休む”の文字は消えてしまった。

「あ、そういえば梨加ちゃん! わたし昨日凄いの見ちゃった」

「何々っ!? 何かしら?」

「あのね、学級委員の九条さんね、サッカー部の3年生の先輩から告白されてたの。わたしその現場に遭遇しちゃった」

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