可愛いなんて大嫌い
「いや、明日は絶対必ず会わせるから!」

「本当かしらー?」

 そう言いながら梨加は葵の目をジーッと睨み付ける。

「ほっ、本当だ!」

 “このとおりだ”と手を合わせて頼む葵を見て、

「まぁいいわ。葵相手にムキになったわたしもどうかしてたわね」

 梨加はやっと落ち着きを取り戻した。

(ほっ。なんとか誤魔化せたな)

 と思ったのもつかの間。

「あ! 葵ちゃん、見てこれー。高橋さんがくれたんだよ」

 部活終わりの矢神がこっちへ走って来る。

「なっ、なんだこれはっ!? こんな写真いつ撮ったのだ!?」

 それはこの前のデートで葵がメイド服を着せられて、キスを迫られている写真だった。

「その写真返せっ!!」

「やだよー。これは俺が貰ったものだもん」

「ふざけるな! 写ってるのは葵だぞ! 返せー! 破り捨ててやる」

「ええー、じゃあ絶対返さない」

 逃げる矢神を葵は全力で追いかけて行った。

「……あの2人いつの間に仲良くなったのかしら?」

「さぁ?」

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