可愛いなんて大嫌い
「べっ、別になんでもない! それより写真だ、写真返せ!」

 目的の写真をまだ回収していなかった。

「まだ粘るのー? 俺返す気ないよー」

「ふざけるな! その写真どうする気だ!! 他の奴らに見せたらお前一生許さないからな!!」

「見せるわけないじゃん」

 いつもの葵なら必ず反論するはずだが、今日はどうもそんな気分になれない。

「……あっそ。お前のこと信じたわけじゃないが、今日はもういい。有り難く思うんだな」

 そう言って葵は先に学校を出て行った。

「……いつもの葵ちゃんじゃない。なんか変な物でも食べたのかな?」



 いろいろ騒動はあったが、ついに肝だめし当日。

 学校が終わり、みんなは一旦家に帰宅して、夜また学校へやって来ることになっている。

 時刻は集合時間20分前の午後10時40分。

 学級委員の悠里は1番に来ていた。

 それに続いて続々とクラスメイトがやって来る。

 気が重い葵だが、みーちゃんに引っ張られて来ていた。

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