可愛いなんて大嫌い
 女子達がキャーキャー騒いでいる中で、一部の男子も顔が真っ青になっている。

 葵はというと、

「こっ、こんな肝だめしが何故クラスの親睦に繋がるのだ!? ……もう帰っていいか!?」

 今にも泣きそうな勢いでみーちゃんにしがみ付いていた。

「まぁ気にすんな。それより次お前だぞ」

 葵はスタート地点へ向かう。気になる相手は……

「なんで葵の相手がお前なのだジャイアントゴリラ!!」

 みーちゃんのダーリンであった。

「神田、よろしく」

 話したことのない奴よりは、まだマシだと無理矢理自分に言い聞かせる。

「じゃあ神田さんと熊井くん、行ってらっしゃい」

 自分も何分後かには行かないといけないのに、随分余裕な悠里だった。



 2人は玄関から入り、さっそく3階の音楽室へ向かうことにする。

 しかし、葵なんかを連れて歩いているものだから、なかなか前には進まない。

「ひぃっ!! さっきあそこで音がした!」

「大丈夫だ」

「大丈夫なわけあるかっ!! 何かいるかもしれないんだぞ!」

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